農業経営において、安定した販路の確保や、人手不足に対応するための作業効率化は常に大きな課題です。「新しい機械を導入したい」「インターネットで直接販売を始めたい」といったアイデアがあっても、初期の資金負担を考えると、なかなか一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
そんな「あと一歩」を変えるチャンスを提供するのが、「小規模事業者持続化補助金」です。
この補助金は、小規模な事業者が行う販路開拓や生産性向上のための取り組みにかかる費用の一部を国がサポートしてくれる制度です。そして、道の駅や直売所などで農作物を販売している多くの農家さんも、この補助金の対象になります。
本コラムでは、持続化補助金が具体的に何に使え、どう役立つのか、そして採択されるためのポイントまでを分かりやすく解説します。
2. 小規模事業者持続化補助金とは?
💰補助金の目的と概要
持続化補助金は、「小規模事業者」が策定した「持続的な経営に向けた計画」に基づき、経営の改善・強化を図るための費用を支援するものです。
特に知っておきたい基本情報は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 常時使用する従業員が20人以下の個人事業主(農家を含む)や法人。 |
| 主な目的 | 販路開拓や生産性向上に資する取り組み。 |
| 補助上限額 | 通常枠:最大50万円(補助率 2/3) |
| 特別枠:最大200万円(申請枠や類型により補助上限額が変動します) |
💡ポイント:農家の場合、JAへの系統出荷以外に、インターネットや直売所で消費者に直接販売している、または道の駅などでJA以外に農作物を卸している場合などが、補助金の対象となる「小規模事業者」と認められやすい傾向にあります。
3. 📝農家さんのための活用事例
この補助金の最大の魅力は、広報活動や機械・設備の導入など、幅広い用途に活用できる点です。
🏷️【販路拡大】「広報費」を賢く使う
農作物をより多くの方に届けるための費用に活用できます。
| 補助対象経費 | 具体的な活用例 |
|---|---|
| ウェブサイト関連費 | 自社ECサイトの新規構築・リニューアル費用、写真撮影費用。 |
| 広報費 | 新商品のパッケージデザイン、ブランドロゴの作成、チラシ・ポスターの作成、SNS広告の出稿費用。 |
| 展示会等出展費 | 都市部で開催される商談会・展示会への出展料や運搬費用、交通費。 |
活用事例:自家製米を使った新商品の開発にあたり、パッケージデザインを一新。補助金でリニューアルしたECサイトで販売するとともに、物産展へ出展し、新たな取引先の開拓に成功した。(販路開拓)
⚙️【生産性向上】「機械装置等費」で作業を効率化
作業の省力化、高付加価値化につながる機器の導入に使えます。
| 補助対象経費 | 具体的な活用例 |
|---|---|
| 機械装置等費 | 水田の水管理を自動化するITシステム(センサー等)の導入、選果場での選果機の小型化・効率化。 |
| 開発費 | 農産物を使った加工品(ジャム、ペーストなど)を開発するための業務用冷凍庫や小型加工機器の購入。 |
| 外注費 | ホームページ作成や新たな販促ツールの制作を外部業者に依頼する費用。 |
活用事例:若手女性をターゲットにした米粉製品を開発。補助金を活用してパッケージ開発と新商品の加工機器を導入し、米の消費が少ない層へ販路を広げた。(生産性向上&販路開拓)
4. 申請のポイントと流れ
🖋️採択されるための3つのポイント
持続化補助金の採択は、提出する「事業計画書」の内容で決まります。特に審査で重要視されるのは以下の点です。
- ターゲットとニーズの明確化:「誰に」「何を」売るのかを明確にし、その取り組みが市場のニーズに合っているかを具体的に示しましょう。
- 売上への根拠:補助金で行う取り組みが、どのように売上アップや効率化に結びつくかの具体的な根拠(例:市場調査結果、既存顧客の意見)を示すことが重要です。
- 実現可能性と継続性:計画が無理なく実行でき、補助金が終わった後も事業が持続的に成長していく見込みがあることをアピールしましょう。
📅申請の大まかな流れ
- **事業計画の策定**:「何を」「なぜ」「どうやって」行うかを具体的にまとめた計画書を作成します。
農家のミカタは、無料で事業計画のお手伝いをします。
- **確認書の受領**:作成した計画書を地元の商工会・商工会議所に提出し、事業支援計画書(様式4)の交付を受けます。
- **申請**:補助金事務局へ必要書類一式を提出します。
- **採択・交付決定**:審査に通過後、採択され、交付決定を受けてから事業を開始できます。
5. まとめ
小規模事業者持続化補助金は、「挑戦したい」という農家さんの想いを、資金面から力強く後押ししてくれる制度です。この機会に、販路拡大や作業効率化につながる一歩を踏み出してみませんか?
まずは、農家のミカタにご相談いただくことが最良の第一歩です。
実績多数!「農家のミカタ」では、補助金活用を含めたサポートを行っております。補助金申請についてご不明な点や、事業計画のブラッシュアップに関するご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。